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前回の「オプジーボ」の記事では、
オプジーボの「1つのメリット」である、
生存率の延長(OS延長)しか
お伝えしておりませんでした。
そこで、
今回、オブジーボの「その他のメリット」と
「デメリット」について、
ご紹介させて頂きます。
オプジーボの「メリット」と「デメリット」を
下記に3点、挙げていきます。
【オプジーボのメリット:3点】
①既存治療薬より全生存率(OS)が良い。(要するに、既存薬より効果が良い。)
②副作用が、比較的少ない。(ただし、今ままでの抗がん剤で見られたような副作用が少ないということ。)
③適応が広く、様々な癌腫に効果がある。(作用機序が、免疫機能活性化のため)
【オプジーボのデメリット:3点】
①薬価がとても高い。 (デメリットと言えばまずこれですね・・・。)
②免疫活性化により、免疫関連副作用の発現が比較的高い。(他の抗がん剤と比較して)
③オプジーボ使用が向いていない症例もある。(もしくは悪化させる)
以上、オプジーボ使用のメリット、デメリットを
簡単にまとめました。
では、詳しくみていきましょう。
まず、メリットから。
①既存治療薬より全生存率(OS)が良い。(要するに、既存薬より効果が良い。)
ということは、
「オプジーボが世界のスタンダードになる」、ということです。
非小細胞性肺癌の標準治療薬であった「ドセタキセル」と比べて、
「OS」(全生存率)に有意差(延長)が認められました。
これは凄いことです。
世界の標準治療のスタンダートを「オプジーボ」が変えたのです。
今後、「オプジーボ」より効果の良い薬剤が出ない限り、
治療のファーストラインになると考えられます。
具体的な臨床試験の結果を
ご紹介します。
「扁平上皮がん」を対象とした、
「オプジーボ」と「タキソテール」の臨床比較試験の結果を
下記に示します。
2015年のASCOで発表されたデータです。
ちなみに、ASCO(アスコ)とは、「米国腫瘍学会」のことで、
ASCOは、世界的にとても有名で、影響力のある学会です。
CheckMate017試験(扁平上皮がんが対象)より抜粋
出典(Presented By Luis Paz-Ares at 2015 ASCO Annual Meeting)
CheckMate017試験(扁平上皮がんが対象)より抜粋
出典(Presented By Luis Paz-Ares at 2015 ASCO Annual Meeting)
以上より、
1年後の生存率を、両剤で比較しますと、
オプジーボ:42%に対し、タキソテール:24%です。
OS中央値は、
オプジーボ:9.2カ月に対し、タキソテール:6.0カ月、
P=0.00025ということで、OSに有意差が認められております。
すなわち、オプジーボの方が有意に生存率が
良いことが、この臨床試験結果から分かっています。
次に、
②副作用が、比較的少ない。(ただし、今ままでの抗がん剤で見られたような副作用が少ないということ。)
に関してご紹介します。
まず、
既存の抗がん剤はほとんどが、「化学治療」です。
しかし、
オプジーボは「化学治療」ではなく、
「免疫機能」を活性化することにより、抗腫瘍作用を示します。
ということは、オプジーボは、
「直接癌細胞を叩かないので、比較的副作用が少ない。」
ということです。
既存の抗がん剤は、ほとんどが癌細胞を叩く、
「化学療法」による作用機序でした。
しかし、オプジーボは癌細胞を直接叩くのではなく、
ヒトの免疫機能を活性化することで、
人体の免疫機能を高め、
癌細胞を減らす作用があるのです。
このような作用機序の抗がん剤は
今までありませんでした。
世界初の作用機序の抗がん剤です。
その結果、副作用が比較的少ないのです。
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ただし、免疫機能活性化により、
免疫異常による副作用が発現する可能性があります。
そして、
③オプジーボの作用機序が「免疫機能活性化」による抗腫瘍作用のため、
様々な癌腫に効果がある、
についてご紹介します。
作用機序が、免疫機能活性化ということは、
様々ながんに使用でき、効果が期待できる、ということです。
現在、オプジーボの適応が広がっているのは
このためです。
現在の「オプジーボ」の適応は3つですね。
①メラノーマ
②非小細胞性肺がん
③腎癌
もちろんいずれの適用も、
治療のファーストラインではありません。
ファーストラインはいずれも外科治療(切除)
からね。
外科治療で改善ができなかった際、
薬物治療に入ります。
これからますますオプジーボ適応は
広がることでしょう。
そして、
次に上記に挙げた、
オプジーボのデメリットについて
紹介します。
まず、
①薬価がとても高い、
ことですが、
これは以前の記事で取り上げました。
今後はオプジーボの薬価が定期的に
見直される(安くなる)予定です。
次に、
②免疫活性化により、免疫系の副作用の発現が比較的高い。(ただし、その他の発現頻度は低い。)
ことですが、
オブジーボでは免疫系の副作用の発現頻度が化学療法の抗がん剤と
比べると、比較的ですが多くなっています。
その原因は、
オプジーボの作用機序が関係しています。
オプジーボの作用機序は、
免疫機能を活性化することにより、
体内の癌細胞をやっつけます。
他の抗がん剤のように
直接癌細胞を叩くわけではありません。
ということは、
人体の免疫系統に良い影響も与えますが、
活性化した免疫反応により、
自己免疫応答が誘発され、
免疫介在性のよくない免疫性反応が
体内に出現してしまう可能性もあります。
要するに、
体内の免疫系に異常が起き、
例えば、
1型糖尿病、間質性肺炎、下痢、大腸炎等が
起こる可能があります。
ちなみに、
この免疫関連副作用のことを、
「irAE」(アイアールエーイー)と呼んでいます。
そのため、
オプジーボ点滴後は注意が必要です。
また、もともと自己免疫疾患のある方は
注意が必要です。
そして、最後に、
③オプジーボ使用が向いていない症例もある。(もしくは悪化させる)
について紹介します。
オプジーボの作用機序は、「免疫機能活性化」です。
そのため、免疫関連の副作用発現には注意が必要であることは、
お伝えしました。
具体的に注意が必要で、
あまりオプジーボ使用が進められない患者様は、
①自己免疫疾患の方
②感染症のある方
③副作用発現を感知できない方
です。
まず①はわかると思いますが、
②は感染症のある方は、もしかしたら、
免疫機能をさらに低下させてしまい、
ますます感染を悪化させてしまう可能性があります。
そして③ですが、
オプジーボ点滴後、
免疫関連副作用がいくつかの症状で発現する可能性があります。
例えば、
易疲労感、下痢、腹痛、呼吸困難、麻痺等、
症状を感知できない認知症の方等は
注意が必要です。
以上、
長くなりましたが、
オプジーボのメリットとデメリットについて、
簡単にまとめてみました。
オプジーボは、従来の抗がん剤と異なり、
体の免疫機能を活性化させ、癌細胞を攻撃します。
他抗がん剤は癌細胞を直接攻撃します。
それゆえに、オプジーボの免疫関連副作用が話題になりがちですが、
オブジーボは、「適正使用の促進」と「副作用マネジメント」の2点さえ
気を付ければ、とても良い薬剤です。
実際に、生存率の向上という有意差のある
明確な効果も世界中で求められています。
日本発の画期的な新薬「オブジーボ」の
ますますご活躍を期待しています。
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